トレーニングは目的が重要です。
筋力を向上させたいのか、動きを改善したいのかを明確にする必要があります。
筋力を向上させたいのであれば、重りを持ってスクワットをするなど筋肉に負荷をかけていきます。
パワーを向上させたいのであれば、筋力に速度の要素が加わるため素早く動くことを意識してトレーニングします。
では動きを改善するとはどういうことなのか。
筋力向上と動きの改善を分けて考えていく必要があります。
そこで今回はトレーニングの流れに沿ってその考え方をご紹介していきます。
Contents
Mobility|可動性
始めに行うのが関節の構造的安定化を図ることです。
骨同士で安定することで、周囲筋に過剰な負担を加えずにトレーニングを行うことができます。
怪我せずトレーニングをするだけでなく、関節周囲の筋が関節を安定させるために過剰に収縮することは、動きの自由度の低下につながるためパフォーマンスにも影響します。
股関節が詰まって柔軟性が改善しないなど、筋をストレッチする前に関節の求心位を獲得することで筋の柔軟性も得られやすくなります。
可動性改善のためのセルフケア
Respiration|呼吸
次に行うのが、呼吸機能含めた胸郭の機能を改善します。
胸郭機能不全は重心移動を阻害し、下半身にかかる負担を大きくする他、移動を伴うトレーニングではスムーズな重心移動を困難とします。
呼吸機能チェック
胸式・腹式どちらかが優位になっていないか
胸郭の可動性|上部・中部・下部
下位胸郭の拡張不全|5cm未満 7cm以上が目標
頸部周囲筋・脊柱起立筋の過緊張
脊柱の生理的前弯の維持
胸郭柔軟性改善のためにセルフケア
Motor Control|運動制御
Motion→Movement
Motion|関節や部位の動きであり、筋力や可動域が必要となる
Movement|バランス、認知、知覚、コーディネーションを含めた運動制御が必要となる
Motionは主に関節の動きであり、筋力や可動域の改善とともに改善するが、身体全体の中での動作を獲得するにはMovementが必要になります。
例えば、腕を上げるには肩甲骨の可動性や肩のインナーマッスルを機能させる必要があります。
しかしそれらの機能が十分であっても、投球動作にて肘が下がることがあります。
そのため、Motionの改善だけでは動作として表出されません。
Movementには適切なタイミングで、適切な方向に適切に出力することが必要となり、動きを制御し微調整することが求められます。
そのため単関節の動きだけでなく、多関節運動を抗重量位でのトレーニングを行い、感覚器を働かせながら行うことが望ましいと考えます。
感覚統合
5感|視覚・味覚・聴覚・嗅覚・触覚
+平衡感覚・固有感覚
また意識的制御から運動を自動制御するには、環境やタスク、身体状況を変化させ、それに動作を適応させるトレーニングを行い、身体能力の限界で行うことで過度な意識付けを避けたトレーニングへと進めていきます。
Movement Preparation|動きの準備
可動性・呼吸・運動制御機能の改善を基に動きを改善するための準備トレーニング
✔︎荷重関節の構造的安定
✔︎呼吸に囚われない体幹機能
✔︎胸郭の柔軟性による上半身質量中心の移動
これらの機能改善に伴い、Movement trainingの準備のトレーニングを行います。
Strength・Movement・Plyometric
姿勢制御・運動制御の段階的トレーニング

Lv.1|静的保持
重心の前後・左右への動きを最小限の状態で保持します。
スクワットでは重心の上下運動を制御するトレーニングであり、前後左右への重心移動は過剰な運動を制御する必要があるため、その動きを最小限にする必要があります。
矢状面での上半身質量中心と下半身質量中心のズレは姿勢制御が必要となるため、動作中は一致した状態が望ましいと考えます。
Strength Training
姿勢を安定させた状態で筋力向上を目的として行います。
主に矢状面での安定が求められるため、前後方向の重心移動を最小限にし、上半身質量中心と下半身質量中心を一致させて重心の上下動を行います。

Lv.2|支持基底面内での運動
重心を支持基底面内で大きく動かし、その動きを制御するトレーニングを行います。
ankle strategy・Hip strategyの割合、胸郭の柔軟性による立ち直り反応、力の方向、タイミングを適正化するために可動範囲を広げながらトレーニングを行います。
Movement Training
重心を支持基底面内で大きく動かすためのトレーニングになります。
Movementを改善するために、力の方向やタイミングが重要となり安定性や可動性だけでなく、感覚を活用しトレーニングを行います。

Movement Training例
Lv.3|支持基底面の移動
Movementの適正化を図ることで、移動方法が変化しスムーズなステップ反応を引き起こします。
重心が高い方が早く移動できるため、上半身質量中心の移動はステップ反応を引き出す上で重要な要素となります。
上半身質量中心が前方に移動することで、前方へ加速し、後方に残すことでストップ動作を容易にします。

加えて行いたいのがPlyometric Trainingになります。
パワー向上に向けて速度を加える必要があります。
Plyometric Training
筋腱複合体の弾性力や神経系メカニズムの働きにより大きな力発揮が可能となります。筋力だけでなくその力の方向も重要となりMovementの要素も必要となります。
Plyometric Training例
以上、トレーニングの流れについてご紹介しました。
可動域、筋力だけでなくMovementの改善を考えることで、目的とした動作獲得につながるのではないでしょうか。
参考にしていただけたら幸いです。
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身体の動き改善にお役に立てればと思っています。